学寮潜入!大学寮レポート2023.02.02
2022年4月、名古屋にまったく新しい”グローバルな”学生寮がオープンしました。その名も「ヤンセン国際寮」。寮を設置したのは、愛知県名古屋市にある南山大学。全入居者を対象に「教育プログラム」を実施するなど、学びながら暮らせる、新しい取り組みが始まっています。今回は、オープンして約半年が経ったヤンセン国際寮に潜入。実際にどのような取り組みがなされているのか、どのような体験ができるのかなど、大学のご担当者と入居されている学生さんにインタビューしました。
<もくじ>
愛知県名古屋市にある南山大学から徒歩5分にある「南山大学ヤンセン国際寮」は、2022年4月にオープンしました。
南山大学では、2007年に「南山大学グランドデザイン」を策定し、
①多様性を確保する
②個を強化する
③異なる価値観を持つもの同士が共生し協働できる環境を整備する
という3つの目標を掲げました。また、2015年に策定された国際化ビジョンでは、「文化・社会の違いを超えて必要とされ、国境を超えて活躍できる人材の育成を目指す」ことを掲げています。
これらを踏まえて、様々な文化や価値観を持つ学生が生活をともにし、キャンパスや教育プログラムで得た学びを宿舎で実践することで、国境を超えて活躍するために必要な力を身につける場として、ヤンセン国際寮は開寮しました。
日本人学生と外国人留学生がともに暮らすヤンセン国際寮の中では、全入居者を対象に「ダイバーシティ&インクルージョン実践力養成プログラム」と呼ばれる教育プログラムが実施されています。
世界トップレベルの大学を含む各国・地域の協定校から訪れた留学生と、ともに暮らし、学び合う、貴重な体験が得られます。
地上4階建て、178室の寮室(うち2室は車いす利用可能なユニバーサル寮室)があり、正規課程の学生と外国人留学生別科の留学生が約半数ずつ入寮しています。
寮室は全て個室になっていて、ベッド、机、椅子、靴箱、ハンガーラック、チェスト、棚、Wi-Fi、エアコンなどが完備されています。
各フロアには、全入居者が利用できる共用リビングがあり、課題やピアラーニングの実施、企画イベントの開催など、学びや交流を深める自由な空間になっています。
入居者たちは、最大10名の日本人学生と留学生でリビンググループを構成し、グループごとにダイニングキッチンを共同で使用します。ダイニングキッチンには、テーブル、椅子、調理器具、食器などのほか、テレビやDVDプレイヤーも備わっています。
トイレと洗面・ユニットシャワーは、2つのリビンググループの間にあり、2つのリビンググループのまとまりを「ウィング」と呼びます。ウィングには、それぞれのウィングに寮室がある学生のみが入れます。
外の中庭は開放的で、緑を感じつつ、ベンチに座りながら交流できる憩いの場にもなっています。
宿舎の運営は学生スタッフが中心となり、5名のレジデントリーダー(RL)と、18名のリビングコーディネーター(LC)で構成されています。RLは、教育プログラムの運営サポートや交流イベントの企画などを担い、LCは各リビンググループの中で入居者同士の交流を促進や、共用施設の使い方を含めた居住のサポートを行います。
学生スタッフのほか、宿舎アドバイザー(教員)、国際センター事務室、国際センター副センター長、管理人とも連携をとっています。
入居者全員が受講する「ダイバーシティ&インクルージョン実践力養成プログラム」では、次の3つの内容を学ぶことができます。
① LIVING:毎日の生活で多文化コミュニケーションの実践
② LEARNING:対話型のスキル養成講座での学び
③ SOCIALIZING:多様な仲間とつながる交流イベントでの学び
次に、①〜③について、少し詳しく解説します。
学生主体の宿舎運営や、共同生活におけるルールづくり、セルフケア/ストレスマネジメントなどを学生自らが取り組めるようになっています。つまり、寮生活を通して自然に多文化コミュニケーション力が高まる機会が豊富にあります。
オンラインで双方向にやりとりができる対話形式の講座テーマには、多文化コミュニケーションや、SDGs、クリティカルシンキングなど、国際人として必要な考え方や要素を学ぶことができます。
学生主体で企画されるイベントには、ゲストスピーカーによる講演や、交流イベント、WELCOME/FAREWELLイベントなどがあり、自分の興味に合わせて参加することができます。
お話を伺ったのは、レジデントリーダー(RL)の4年生Fさん、リビングコーディネーター(LC)の2年生Kさんです。
Fさん:留学経験があるのですが、もっと国際交流がしたかった、もっと人と関わりたかったという思いがあり、国際交流の時間が長い寮ということで入寮しました。それと、社会人になる前に、一人暮らしの経験をしたかったのもあります。
Kさん:私は留学に行く前の準備期間として、異文化を学びたかったことと、料理や家事などの面で自立をしたいという気持ちがあったので、入寮しました。
Fさん:新しいことにわくわくするタイプで、挑戦してみたいと思いました。
Kさん:南山大学に入学したからには、何か新しいことをしたい!と思っていました。それと、国際交流という点でも、LCだったら他の学生よりも責任のある役割として留学生と深く関わることができると思ったからです。
Kさん:はい。お部屋のことだけじゃなくて、入国時に役所に一緒に行ったこともあります。
Fさん:そうですね、4月と9月の新入居者向けのガイダンスもRLが行いますし、リビンググループの詳しい説明はLCがするので、関わる頻度は多いです。
Kさん:隔週でLCミーティングがあります。そこで、個々に困っていることなどを共有して、お互いの情報共有を大事にしています。
Fさん:私は特に2つのことを意識しています。ひとつは、一人でやり過ぎないことです。もうひとつは、親しみをもたれるリーダーになることです。真面目そうに見られることもあるので、誰からも気軽に声を掛けられるように、自分から声をかけるように心掛けています。
Fさん:ここで生活していると、留学生との文化の違いを学ぶことが多いのですが、一方で、同じ人間なんだなぁと感じることも多いです。例えば、家族の話や将来の話、共通の話題で盛り上がると、とても楽しいなと感じます。大学では授業やクラブ活動もありますので、時間的な制限がありますが、寮だと時間を忘れて楽しめます。そういうところが好きです。
Kさん:今年の9月に留学生が入寮して来たとき、「今から始まるんだ!」と思いました。それまでは、寮も少し静かだった気がしますが、共用リビングもにぎやかになり、活気があふれるようになった瞬間が印象的でした。
Fさん:はい、リビンググループでは、毎週、お題を決めて作っていました。今週はベトナム料理!今週はちらし寿司!パスタ!とか。留学生に母国料理を教えてもらうこともあります。各自で料理を作るときは、お互いの料理を交換することもあります。
Fさん:一例としてお話しすると、コロナが流行したときに、ランドリーなどの共用部の時間帯を分けていました。他には、学校で不要になったDVDや本を、自室で見たい人用に貸出できるように揃え、リストを作成したりもしました。
宿舎アドバイザーを務める南山大学の小野先生に、あらためてヤンセン国際寮の特徴と魅力について伺いました。
小野先生:ヤンセン国際寮は、多学年、多国籍の学生が生活しているので、層の深い学びになる場所です。誰かが困っていたら手伝ってあげられますし、自分が困ったときには先輩や周囲の人たちに助けてもらえます。このように、お互いがもっているもの、つまり経験であったり、知識であったり、想いであったりを共有できる場所でもあります。その循環によって、自分たちの成長につながる寮です。また、留学を考えている学生の準備期間としても最適だと思います。留学さながらの環境である一方で、のちに留学したときには、留学と寮生活のギャップを比較することもできます。コミュニケーションをたくさんしたい人にはぴったりですし、寮での経験は、大学生活の視野を広げてくれることでしょう。大学内で国際交流を積極的にしたい方や、実生活を通して様々な国際人としてのスキルを身に付けたい方におすすめです。
南山大学「ヤンセン国際寮」に関する最新情報、募集案内については、ヤンセン国際寮の特設ウェブページや南山大学国際センターのウェブページなどで確認することができます。
ヤンセン国際寮 特設ウェブページ
https://www.nanzan-u.ac.jp/jir/
南山大学 国際センター 公式ウェブページ
https://office.nanzan-u.ac.jp/ncia/
南山大学 国際センター 公式Instagram
https://www.instagram.com/nanzan_intl/
南山大学 国際センター 公式Twitter
https://twitter.com/nanzan_intl
また、南山大学では公式YouTubeチャンネルも運営されています。
学生さんのインタビューや学部紹介など、様々な動画がありますのでぜひチェックしてみてください。
南山大学公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/@NanzanUniversityTV/
南山大学 〒466-8673 愛知県名古屋市昭和区山里町18 電話:052-832-3111(代表)
(写真は特記以外、dorm編集部撮影)