学寮潜入!大学寮レポート2022.10.24
早稲田大学には「WISH」という国際学生寮があります。WISHは「Waseda International Student House」の頭文字から付けられた名称。この寮にはRA(レジデント・アシスタント)という寮生がいます。彼らは寮と学生、学生同士のパイプ役となり、寮生の相談相手、生活上のルールのアドバイス、イベントの企画・運営など、みんなが快適に寮生活を送るためのサポートをしています。今回はWISHでRAとして活動する2人の学生に、実際の寮生活やRA活動などについてお聞きしました。
お話を伺ったのは国際教養学部3年 Mさん、文化構想学部2年 Kさん
私は小学6年生の頃から「将来は物書きになりたい」と思っていまして、文学や作品を作ることに憧れがありました。早稲田大学は多くの文学者を輩出しているので、自分が尊敬している作家の方たちが学んだ場所で自分も勉強したいと思ったのがきっかけです。
僕はKさんとは逆で、「これを勉強したい!」と強く思える分野が見つからなかったんです。だから色々な分野を幅広く学べそうだ、という理由で早稲田大学の国際教養学部を選びました。僕自身はロンドン育ちで、高校から日本に来たのですが、早稲田大学には色々な方がいますし、留学生も多いため、自分にとって良い刺激を得られると思いましたし、実際に通ってからもイメージ通りだったと思っています。
両親ともに、学生時代に寮生活を経験していて、「寮はすごく良い経験ができるよ」と熱烈に薦められたのがきっかけですね。現在の僕の実家は早稲田にも直接通える場所にあるため、最初は実家から通うつもりでした。寮生活だと費用的に親に負担をかけてしまうと思って。ところが両親から「是非とも寮に入ってほしい」と言われ、自分自身も早い段階で親から離れて自立したいと考えていたので、寮生活をすることに決めました。ちなみに僕は3人兄弟の末っ子ですが、姉も兄も大学では寮生活でした。
私は広島の出身なのですが、地方に住んでいるとなかなか東京に行く機会ってないんですよ。ある時、早稲田大学が地方在住者向けに行っているガイダンスに行った時に「住まい相談ブース」があって、そこで初めてWISHの存在を知りました。WISHのオンラインの説明会にも参加して、そこで色々説明を聞くうちにどんどん興味を惹かれていきました。最初にいいなと思ったのは、大浴場があること。お風呂好きの私にとってこれは嬉しかったです。あと私は一人っ子で、一人で生活するには不安もあったので、いきなり一人暮らしをするより、親元を離れる第一歩として寮生活を経験することが自分に合っていると思いました。
WISHは国際寮ですので、海外の方をはじめ日本中様々なところから学生が集まります。首都圏の学生も多いですが、地方出身者も思っていたより多かったですね。一人っ子だった私は自分だけのマイルールで生活してきましたが、共同生活を通じて他の人のマイルールを知ることも大きな学びになりました。また、例え出身県が隣の県でも風習や言葉が違ったり、日常会話でも通じないことがあったり、寮は日常生活に発見のある空間だと思います。
寮生活って、最初は抵抗感のある学生も多いみたいですが、僕は全くありませんでした。部屋の広さも僕にとっては十分ですし、仲の良い友達もできますし、大学のうちから親元を離れて自立できるのが良いですね。一人暮らしと寮生活を比較した時に、寮生活の良いところは「ただいま」と言う相手がいることですね。ささいなことのように思えるかもしれませんが、意外とこれは大きな違いだと思います。例えば深夜に寮に帰ってきても、キッチンに誰かがいて、何かしているという状況も楽しいです。
寮に貢献したいという想いと、自分のコミュニケーション能力向上につながると思ったからです。僕も留学生だったのでわかるのですが、留学生に対して日本人からアプローチしづらいため、留学生って1人ぼっちになりがちなんですよ。僕がRAになって声掛けすることで、少しでもそういった状況が減らせるといいな、という想いもあります。あと留学生にとっては、役所の手続きなどが本当に大変なので、一緒に手伝ってあげたいなと。とにかく自分の力を活かして、人の役に立ちたいと思ったのがきっかけですね。
先輩の話を聞いたことがきっかけです。彼女が寮生だった時、勉強が手一杯で困ったことや悩みなどを他人に相談できなかったそうなんです。彼女はその経験を活かして後にRAとなり、ホームシックになったり、勉強に不安になった寮生のサポートをしていました。私も自分で「誰かの支えになれる人間」になりたいという想いもありましたし、RAならばそれが目に見える形で実現できると思ったからです。
RAは安心で楽しい寮生活を支える裏方というイメージですね。寮生活でわからないことや、東京のことがわからない学生をサポートしたり、イベントを企画したり、大学と寮、寮と学生をつなぐパイプ役です。
寮のお世話係です。寮の運営側と寮生の両方をやる人というイメージです。他のRAと協力してイベント運営を行うこともありますし、寮生のメンタルケアをすることもあります。イベントを自ら企画して気付いたことは、国際寮の場合、運動系のイベントは言葉を超えて楽しめるということですね。僕自身がロンドンで育ちで高校から日本に来たため、WISHでも留学生のことは特に気にかけているのですが、スポーツは言葉が通じなくても協調性や仲間意識が芽生えるので素晴らしいと思います。
日常生活で必ず寮生に挨拶することです。「おはよう」「おかえり」「ただいま」など、些細なことですが人に挨拶してもらえることって嬉しいことですよね。寮生によっては、たった一言の挨拶でも安心につながることもあると思うんです。また、普段から挨拶などの声掛けをすることで、何かあった時にも相談してもらいやすくなるかなと考えています。
年上ぶらないようにすることですね。RAは3・4年生が多いため、自然と年上が多くなってしまいます。しかし、それだと1年生や2年生からは声をかけたり相談しづらい面も出てくると思うので、気軽にコミュニケーションしてもらえるように、なるべく同じ目線で話しかけてもらえるように心がけています。また、寮生の模範となれるような行動・態度を取ることも心がけています。数百名の寮生はみんなRAの顔を知っているので、見られていてもそうでなくても恥ずかしくない行動をとりたいです。
「SIプログラム」をすごく簡単に説明すると「大人から話を聞く場」です。日本文化のこと、仕事のこと、大学生活のこと、言語の学び方など、勉強会であり講義であり、大学の枠を超えたみんなで何かを学ぶということをやっています。OB・OGの方や各分野のエキスパートの方に登壇していただいています。私は他の人の人生を垣間見れるところが面白いなと思っています。
「SIプログラム」が開催される時間帯は19:00〜20:30でして、授業の時間と重ならないように配慮されています。僕は国際教養学部ですが、建築の専門家の方や、NHKの方にジャーナリズムの話を聞くなど、普段の授業では学べない、全く別分野のことを学べるのが楽しいですね。また、登壇者の話を聞くだけではなく、ディスカッションもあり、違う知識を持つ者同士で意見を交換するのは非常に勉強になります。
現代は多様性の時代と呼ばれていますが、多様性とは1人ひとりが違うこと、それを認め合うことだと思います。WISHは国際学生寮ですが、単純にインターナショナルというだけに留まらない多様性が魅力です。「意見が違うからイヤだ」という考え方ではなく、違う意見があるからこそ、自分自身も多様な観点で物事を捉えることができ、課題に対する色々な解決法も身に付くのかなと感じています。だから、様々なことから新たな刺激を受けたい方や、自分のまだ知らない世界に一歩踏み出してみたいという方には合っていると思います。
サン=テグジュペリの『星の王子さま』の前書きに「おとなは、だれも、はじめは子どもだった」という一文が書かれているのですが、私はことあるごとに、この言葉を思い出すようにしています。子どもって新しいものに魅力を感じたり、好奇心を持ったりということを自然とできますよね。でも歳を重ねるうちに、子どもの頃の気持ちを忘れて、無意識に「これはこうだよね」と自分で答えを決めつけてしまう時があります。WISHには新たなことに出会い、好奇心を刺激してくれるような環境があります。受験は点数を競う世界なので非常に苦しい時期だと思いますが、その苦しさを乗り越えた先には、点数だけではない多様な世界が広がっています。受験勉強、大変ですが頑張ってください。
ありがとうございました!
早稲田大学の中で直営学生寮を担当する早稲田大学レジデンスセンターのウェブサイトでは、WISHについての詳細や、入寮募集の最新情報を参照することができます。
https://www.waseda.jp/inst/rlc/
WISH館内の様子や入居者のインタビューを動画で発信している公式チャンネルです。2021年に行われたオンラインオープンハウスの動画も公開されています。
https://www.youtube.com/channel/UC67_vJFxX1d02uEvfIqtpRw/
早稲田大学国際学生寮WISHに住む、現役RAが運営するYouTubeチャンネルです。
WISHでの生活や、RAの活動・取り組みの様子を見ることができます。