学寮潜入!大学寮レポート2022.09.01
大学寮ライブラリー「Dorm」では、規模や設備、寮内教育や学生へのサポートが充実しているなど、特色のある大学寮を特集して取り上げています。
今回は、一橋大学の、国際学生宿舎一橋寮についてご紹介します!国際学生宿舎一橋寮について、3編に分けてご紹介します。
その1 そもそも国際学生宿舎一橋寮とは?
その2 レジデント・アシスタント(RA)制度について伺いました。※本記事
その3 RAインタビュー:寮を選んだ理由と、寮の魅力は?
RA制度とは、Resident Assistant(レジデント・アシスタント)の略称で、大学寮文化が根付いているアメリカなどでは一般的な制度です。学生寮に新しく入ってくる人たちの相談に乗ったり、寮内でのイベントを企画して寮生同士の絆を深めたりと、日々の生活を支える役割を担っています。
国際学生宿舎一橋寮のRAは、合計で70人います。70フロアに一人ずついる形になります。
一橋寮の良いところは、学生同士の交流が盛んなところですが、これは、RA制度があることに起因しています。RAが定期的なイベントを企画したり、フロアごとにの交流を促進したりする工夫をしてくれています。
1フロアに1人、RAがいる体制は、日本でも珍しいと言えます。下記では、実際にRAを担当されている鈴木さんと粕谷さんにRAのことをお伺いしています。
粕谷さん
一橋大学 修士課程1年
学部2年生からRAを務める
鈴木さん
学部4年生
1年生の後期からRAを勤める
語学留学に1ヶ月間行っていたこともあり、柔らかいコミュニケーションを取ることはできていた自負がありますが、1フロアーの運営を任された中で、自分が一番年下だったんです。
当時2年生だったのですが、寮には、博士課程まで進んでいる方も多く、そういった年齢差がある人たちと交流をしたり、そのフロアを活性化させたりするのは結構難しかったです。一番年長の人は多分10歳弱ぐらい違っていました。
一回海外の大学を出て、また一橋で学位取得を目指す人達が年上の方に結構多く、そういった方々は交流をしたいかといったら、学業に集中したいというニーズが強く、僕らみたいな若い学生は、逆に積極的に交流して遊びたいというニーズが強い。では、どう調整していけばいいかという点で、戸惑ったことは、よく覚えています。
国際交流と一言で括るとこぼれ落ちる人っていうのはたくさんいますし、何の為に住んでいるかというのも一人一人違うので、そういった人達の声を聞くことを心掛けてはいますね。忙しい人に対して無理やり交流しようよ、とは言わないようにしています。
精神的に落ち込んでいる人がいないか確認するため、居住者とできるだけ短く言葉を交わすことを心掛けつつ、料理作りたい人は作っても良いし、部屋でこもりたい人はこもっててもいいから、みたいな感じで運営しています。どんな人がいてもいいんだよっていう雰囲気作りを大切にしてます。
フロアを見るにあたって、粕谷さんが言ってくれたようにダイバーシティ、本当にその人の個性みたいなところ受け入れることは必要です。あとは常に寮生に寄り添うような存在でありたいなとは思っています。
RA=レジデント・アシスタントっていうだけあって、寮生の生活をアシストするポジションですし、それが逆に、寮生からするとフロアの支配者のような、ちょっと権限がある人のように思われてしまうこともあります。
そうはならないように、あくまでも私とあなたは寮生のフロアメイトの味方であって、「何かあったら助けを本当に気軽に求めていい存在なんだよ」と。そういった点をフロアメイトにも理解してもらえるような、立ち居振る舞い・日ごろの接し方を心がけています。
3つの段階でイベントを行っています。
一つは、全寮に対するウェルカムパーティーとか、全寮生に対してコロナ前だったら300人とか、これぐらいの規模でやっていてパーティーを開く。現在は、ある程度人数を制限する形で実施しています。
もう一つは、月例のイベントです。これは申し込んだ人が参加したり、人数を絞ったりなど様々な形式があるのですが、今年の5月は高尾山に登りに行くイベントを開催しました。
最後に、フロアごとの小さい交流です。コロナ前は、一緒にたこ焼きやお好み焼きを作るフロアパーティーが多かったのですが、今は飲食禁止になっているので、ゲームをしたりシンプルに会話・おしゃべりしたりという形で実施されています。
2021年は、大規模なパーティーに関して、「接触を避けること」を、企画段階でどうやって盛り込むかのかが1個大きなポイントでした。
成果となったのは七夕の飾りをみんなで飾って、それを写真に撮ってコンペティションするっていう企画をやりました。これだったら密にはならないし、友達と二人ぐらいで飾り付けをできる時にやるなど、交流が少し生み出される形を作りました。
また、小規模にグループを分けつつも対面にする。あるいは、ZOOMをどう交流において活用していくかっていうので、ブレイクアウトルームを使ったりなどの工夫をしていました。
規制が緩和されつつある、最近では、小規模化した上で対面で行うのが交流を効果的に促進する方法なのかなと考えています。
私は、中規模のイベントを企画して運営する班にずっと所属していたので、そちらの方の話をさせていただきます。
コロナ禍になって、それまで人気だった、他の国々の食をみんなで実際に作って食べるイベントや、バスを貸し切って50人ほどで日帰り旅行に行く、といったようなイベントの開催が難しい状況になってしまい、かなり苦労しました。
その状況のもとで、オンラインを活用したイベントだったり、小規模や感染対策を行った上で屋外でのイベントを行ったりしてきました。
ひとつ具体例をあげると、LANGUAGE EXCHANGEという、寮内にいる語学を学びたい人と、その言語を母国語とする人をマッチングさせてコミュニケーションをとるイベントを行いました。これならZOOMでもできますし、対面したとしても少人数ですし、交流しようという雰囲気になりやすいです。
最初はほぼ手探りだったので、すごい失敗もありました。全く人が来ない回があったりとか。でも、だんだんと改善していったり、社会情勢の変化もあったりで、それらの状況に合わせて柔軟に企画していくことが求められたかなと思います。
#3 RAインタビュー:寮を選んだ理由と、寮の魅力は?に続く
一橋大学のWebサイトで、国際学生宿舎一橋寮の概要・費用情報を確認することができます。
募集に関する情報のリンクも掲載されています。
https://international.hit-u.ac.jp/jp/curr/accom/kodaira/index.html
この記事では一橋大学の学生寮「国際学生宿舎一橋寮」についてご紹介しました。
今後も大学寮ライブラリー「Dorm」では、特色ある大学寮を続々と取り上げていきますので、次回の特集もどうぞお楽しみに。
※本記事の内容は2022年5月取材時点です