大学プレスリリース2025.10.27

1 概 要
日本大学薬学部薬理学研究室、同薬剤学研究室、日本大学病院薬剤部、および医学部附属板橋病院薬剤部の研究グループは、救急医療や集中治療の現場で使用されることが多い抗不整脈薬アミオダロンと利尿薬フロセミドの2種類の注射剤について、混合条件によって配合変化リスクが異なることを明らかにしました。
研究グループは、製造段階での薬剤(注射剤)の配合変化を確認する従来型の試験管内ミキシング法に加え、実際の臨床投与経路を再現したルート試験法を比較検討しました。その結果、ルート試験法においてのみ、配合変化を示す濁度の上昇や大きな粒子の析出が観察されました。このことから、従来の試験管内試験のみでは、実際の医療現場で生じる配合変化を十分に評価できない可能性が示されました。本研究成果は、注射薬の安全性評価において、実際の投与経路を模擬したルート試験の重要性を示すものであり、今後、より安全かつ適切な注射薬投与法の確立に寄与することが期待されます。
■ 研究成果の発表
日本大学大学院薬学研究科の岩渕 聡 大学院生(博士課程3年、日本大学医学部附属板橋病院薬剤部所属)を筆頭著者とした原著論文が、2025年10月17日(英国時間)に国際的な学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。