大学プレスリリース2024.05.23
名古屋大学博物館の吉田 英一 教授、山本 鋼志 特任教授、大学院環境学研究科の淺原 良浩 准教授、東京大学工学研究科の丸山 一平 教授(名古屋大学博物館兼任)、岐阜大学教育学部の勝田 長貴 教授と日本原子力研究開発機構(JAEA)、積水化学工業(株)および中部電力(株)原子力安全技術研究所の研究グループは、球状コンクリーションの形成プロセスを応用・開発したコンクリーション化剤を用いて、地下350m環境での岩盤亀裂シーリング実証試験を行い、M5.4の直下型地震を含む11回の地震によるシーリング効果の低下と再シーリングも含め、地下水の湧水を抑制(透水性が実験開始直前の1/100〜1/1000に減少)させることに成功しました。このような地震後の岩盤亀裂を、速やかにかつ持続的にシーリングする効果の報告は、世界的にも今回が初めてとなります。
この手法は、数千年以上もの長期間の地下隔離を必要とする放射性廃棄物の地下隔離・処分のほか、二酸化炭素の地下貯留、石油の廃孔シーリングや、道路・鉄道トンネル周辺岩盤・鉱山掘削に伴う地下水抑制といった、地下環境を活用する地球規模で直面しているエネルギーや環境課題だけでなく、様々なインフラの長期メインテナンスなどのニーズに応用可能であり、メインテナンスフリーを目指す今後の幅広い技術への展開が期待されます。
本研究成果は、2024年5月22日18時(日本時間)付イギリス科学誌Springer Nature社の「Communications Engineering」に掲載されました。