大学プレスリリース2023.06.12
【本件のポイント】
●フッ素樹脂とは炭素・フッ素結合から構成される高分子化合物(ポリマー)。耐熱性、耐薬品性、耐候性、電気絶縁性等に優れ、カーボンニュートラルの社会を実現するためにも必要不可欠な材料である。
●フッ素樹脂は有機フッ素化合物の一種であり、いわゆるPFAS(per- and polyfluoroalkyl substances)の範疇に入るが、近年、地下水や土壌中で検出されて生体影響が懸念されているペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)やペルフルオロオクタン酸(PFOA)、ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)等とは性質がかなり異なる。それにもかかわらずPFASに属するため、PFOS、PFOA等としばしば混同されている。
●フッ素樹脂は熱的、化学的に安定であるという特徴の裏返しで、分解することが難しい。焼却は可能であるが、フッ化水素ガスが発生し焼却炉が損傷するため、廃棄物の大半は埋め立て処分されている。このため、有害物質を発生させずに適切に分解し、リサイクルすることが求められている。
●この総説はこのようなフッ素樹脂について、世界におけるリサイクルや廃棄物処理技術の研究状況、人間や生態系への影響、さらには今後の見通しについて報告している(図1)。