大学プレスリリース2023.04.26
【本件のポイント】
・中川優磨氏(当時龍谷大学理工学研究科 博士後期課程3年)と龍谷大学 先端理工学部の内田欣吾教授は、産業技術総合研究所(産総研)の須丸公雄研究グループ長、山梨大学医学部 桐戸敬太教授らと共同で、光分子機械の一種であるジアリールエテンが、その光異性化に応じて細胞のDNAの塩基対間に挿入され、それに続く光照射で細胞死を導くことを見出した。この細胞死が、カスパーゼ経路を経るアポトーシスであることは既に明らかにしていたが、この度ヒトのがん細胞であるHeLa細胞をも殺傷することを見出した。この細胞死のメカニズムは、DNAの塩基対間に挿入されたジアリールエテン分子が、その状態で光照射を受けると、光分子機械としてその場で開環・閉環反応を繰り返すことでDNAの二本鎖の両方を切断し、それにより細胞が死に至ることが分かった。この様なメカニズムによる光細胞毒性の報告は他になく、新たな仕組みによるがん治療につながる可能性が示された。
・本研究成果は、アメリカ化学会の医化学ジャーナル『Journal of Medicinal Chemistry』誌に掲載。