大学プレスリリース2025.10.31

日本工業大学基幹工学部機械工学科・小林和也助教、神保孔明(機械工学科2025年3月卒業)、名古屋工業大学電気・機械工学類・武藤真和助教、東京都立大学大学院理学研究科・栗田玲教授らの研究グループは、湿度に応じて変化する粉体の流動性を、わずか数グラム・数ミリ秒で定量評価できる新手法を開発しました。本研究では、粉体表面に短い衝撃を与え、その瞬間に立ち上がる「粉体ジェット」(注1)の高さと速度を解析することで、粒子間の付着力や凝集の程度を高感度に検出できることを示しました。
従来の粉体レオメーターや静止角法などでは、数百グラム規模の試料や複雑な装置を必要とし、湿度による変化をその場で測定することは困難でした。今回の手法では、約12 mLの試料量で実験が可能で、湿度によるわずかな付着力の変化も、ジェットの高さ・形状から直感的かつ定量的に捉えられます。また、得られた結果は粒子径や湿度に応じた粉体の凝集挙動を精密に反映しており、製薬・電池・食品など湿度に敏感な粉体プロセスの品質管理や設計指針として活用できることが期待されます。本研究は、粉体工学における「簡便・迅速・高感度」な評価技術として、新たな産業応用への展開を拓くものです。
本研究成果は、10月24日付けでElsevierが発行する英文誌Materials & Designに発表されました。本研究の一部は、日本学術振興会科学研究費補助金(JP24K17024)の支援を受けて行われました。