大学プレスリリース2024.12.13
名古屋大学の大学院医学系研究科の古川 佐和子 博士課程学生、医学部附属病院 ゲノム医療センターの久島 周 病院講師、大学院医学系研究科の池田 匡志 教授、尾崎 紀夫 特任教授、環境医学研究所の荻 朋男 教授らの研究グループは、日本人の自閉スペクトラム症(ASD)(注1)トリオ家系(注2)に対して全ゲノムシーケンス解析(注3)を実施し、一塩基バリアントから構造バリアント(注4)、短鎖リピート配列(注5)、ミトコンドリアバリアント、そしてポリジェニックリスクスコア(注6)まで、幅広い種類のバリアントを探索しました。その結果31.6%の患者に病的バリアントの候補を検出しました。
知的発達症を併存するASD患者では、43.5%で病的バリアントの候補が検出されました。特に、3名のASD患者には、PTEN、CHD7、HNRNPH2遺伝子上にde novoの病的バリアントが検出され、遺伝カウンセリングの対象となりました。患者に検出された、タンパク質に影響を及ぼしうるバリアントの遺伝子オントロジー解析(注7)では、バリアントがある遺伝子は「成長の制御」と「ATP依存性クロマチンリモデリング活性(注8)」に集積し、これらが病態に関係していると考えられました。
本研究成果は、2024年11月29日付国際科学雑誌『Psychiatry and Clinical Neurosciences』に掲載されました。